2023年6月25日
水密ゴムとは(4)―汎用ゴム製品との違い―
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水密ゴムを新規でご依頼いただいたお客様から「最初見積を見た際によく使うゴム板と比較して高かったのでびっくりした」というお言葉をいただいたことがあります。
確かに、止水ゴムとしての水密ゴムの価格は汎用のゴム製品と比べると高めかもしれません。
では、一般的なゴム製品とはどこが違うのでしょうか。
耐久性や耐候性
ダムや水門に取り付けられた水密ゴムは、長い年月水圧や外気にさらされ、長い場合であれば30年以上使用されているケースや、常に数十トンもの水圧を受け続ける場合もあります。高いスペックが要求されるため、材料から一般的なゴム製品とは違います。また繰り返し試験をして条件に合う高スペックなゴムの製作が必要なことが、一般品と比べて少し高価である理由のひとつです。
オーダーメイド
水密ゴムは基本的にすべてオーダーメイド製品です。(もちろん通常のゴムもオーダーメイドはあります)
使用する箇所によって設計段階でどのような形や大きさが適しているかを考えて決めており、そのため基本的に一品ごとに金型を作成する必要があります。この金型が30万円から100万円を超えるケースもあります。(水密ゴムの金型だからと言って他の金型と比べて高いというわけではないのですが)
リピートして使い、ランニングコストと考えれば問題ないのかもしれません。ただ水密ゴムの取り換え頻度は数十年に1度、中には20年~30年単位のケースもあるのでそこまで長い目で見るのも難しい…そのようなコスト面でのお困り事を解決しようと思うと、やはり既存の金型を所持している業者を探すのが早いでしょう。価格面だけでなくノウハウなども同時に所有しているというのも大きなメリットです。
製造方法
水密ゴムの製造方法は2通りあります。ひとつはプレス金型での成型。もうひとつは押出での成型です。プレスは物性や寸法が安定して出せるためダムや水門などに向いています。一方で押出成型は寸法や物性が安定しない一方で安価であり、農業用水などさほど高いスペックが求められない箇所に適しています。この2通りでは価格面で大きな差があるので使用目的によって使い分けています。
近年では
ダムの新設が減り業界全体の仕事量が減ってきているため、水密ゴムに関わる会社も減ってきているのが現状です。
一方で、生活を守るダムや、津波など危険から身を守る水門、そして命の源である田畑に必要不可欠な水門は、いまもいたるところで求められております。水密ゴムはそれらの設備に欠かせない重要なパーツであり、今後もその供給を絶やさぬようにわれわれも精進したいと考えております。