2022年3月1日
水密ゴムとは(3)—使用されるゴム材料—
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水密ゴム(止水ゴム)は1度取り付けられると数十年に渡り使用されることが想定されます。
しかもこの間、ダムや水門の水圧に耐えたり、日光や空気(オゾン)にも長期間さらされたりしています。水密ゴムの材料は、こうした過酷な条件に耐えられるように、選定や配合が考えられています。
求められる物性
水密ゴムに求められるおもな性質は下記のようなものとなります。
・吸水性が少ない
・弾性に富んでいる
・耐久性がある
・耐候性にすぐれている
水密ゴムに使われる主なゴム材料
材料としておもに使用されるのは、CR(クロロプレンゴム)とNR(天然ゴム)です。
CRの特徴
CRは耐候性・耐薬品性・耐熱性・耐油性などの数値が平均的に高く、バランスにすぐれたゴムです。1930年代に開発された、合成ゴムの中でも古い歴史を持つ材料です。
使用用途としては、自動車部品・Oリングやベルトコンベアなどの一般工業用品・接着剤・スポンジ製品・建築用ゴム製品・電線被覆材・ウェットスーツ、などがあります。
NRの特徴
NRは主にパラゴムノキという植物の樹液からできるゴムです。耐摩耗性や強度にすぐれ、合成ゴムよりもすぐれた特徴も持っています。同じ特性を人工的に作ることはできませんが、天然のために品質や供給が不安定な面があります。また耐油性や対候性などは合成ゴムに劣ります。
使用用途としては、日用品や履物から、タイヤ・ホース・ベルト・一般工業用品、などがあります。
そのほかの材料
耐オゾン特性にすぐれたEPDM(エチレンプロピレンゴム)も特定の用途で使用されることがあります。EPDMは屋外での使用に適しているほか、水回りのパッキンなどにも使用されます。
比較
CRとNRのおおまかな比較は下記の通りです。どちらを使用するのかは図面に指示されることが多いですが、使用環境によって選定することもできます。
アレンジ
CRやNRの単体での使用だけでなく、ゴムに樹脂などを接着する複合的なバージョンもあります。ゴム本来の滑りにくさを解消するために、摩擦係数の低い(滑りやすい)樹脂をゴム表面に接着することもできます。